『おまえ、瀬戸内の海みたいやわ』
第20回本屋大賞受賞作。有名なので知ってる人も多いと思う。
瀬戸内海の小さな島に住む、高校生の二人。
両親に不和を抱え鬱屈とした日々を送っていた、井上暁海。
こちらも母親に難がある中、漫画家を目指し奮闘する、青埜櫂。
二人の出会いがまず、甘酸っぺぇ・・・。こういう学生時代を送りたかった。
学校の北原先生はとても優しく、いろいろな場面で二人を助けてくれる。
こんな先生、いないよ・・・いたら良かったなぁ。
今作は二人が章立てごとに語り手が変わり、
十七歳から十九歳、二十五歳とすこしずつ年齢を重ねながら進んでいく。
社会人になりすこしずつ自立していったり、
仕事が上手くいかず燻っていたり、
そんな二人のすれ違いが描かれたり。
櫂とタッグを組む尚人のとある問題で人生が大きく変わったり。
半分読んだあたりでグワングワン揺さぶられまくって、
感情が大変なことになってました。
後半もそれは変わらず、二人の人生の浮き沈みがとんでもないことに。
波乱万丈って言葉だけで片付けていいのか、これ。
最終章でもまだ二人、三十二歳だぞ。
途中で、もう二人で島に帰って静かに暮らそうよ・・・って何回も思いました。
二人だけじゃなく、ほかの登場人物もみんな魅力的。
北原先生は一番好きなキャラクターだけど、
第三章で描きたい漫画の話を櫂くんと話してる尚人くんがね・・・
ここ、何回読んでも泣けるわ。
編集として櫂くんを支え続ける植木さんと絵理さん。
北原先生の娘の結ちゃんもみんな好き。
あまり好きになれないのは・・・櫂のお母さんくらいか。
まぁ、憎めないひとなんだけどね。
最後にたどり着いた居場所。
最後のほうになるともうページめくる手が進めたいけど
進められないジレンマに陥ります。やばいって。
そして最後にタイトルの意味を知るというね・・・。
感無量ですわ。
エピローグまで読み終わったらプロローグもっかい読みましょう。
印象だいぶ違って見えて二度美味しいので。
2026年に横浜流星と広瀬すず主演で実写化するらしい。
流浪の月の映画も面白かったしなぁ。原作レビューもそのうちやります。
アニメ・漫画の実写化はちょっと不安がつきまとうけど、
この実写化は素直に見たいなー、と思います。楽しみ。